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2010年6月 8日 (火)

暁の墓守

さて、何番煎じになるのかな?www
鷺RPGパロ関連で。
実は透水さんのを見た時に気付いたら頭の中で構想練ってて、みっちーのを見て書き始めただなんて(略

SSって言える程のものじゃないけどね。
グロテスクって程じゃないんだけど、ちょっとそっち方面苦手な人にはごめんなさいって感じ。
うん、でも、これくらいなら大丈夫ってシンジてる!






続きよりどうぞ。






「行ってきます!」

「行ってらっしゃい。
夕飯までには帰ってきなさいよ?」

「うん、分かってるよ!」


…。


鮮明な、でもちょっと色褪せている光景。
いつものように、5歳年下の不思議な女の子と遊ぶ為に、家を飛び出す俺。
今日は何をしよう?何処に行こう?

これから起こるであろう、楽しみな事に顔を輝かせる俺をいつも笑顔で見送ってくれる、優しい…時にはめっちゃ怖い母さん。


懐かしい…


……あれ?


……懐かしい?


この日は…?


俺は白いTシャツに紺色のハーフパンツを身に付けている。


この服装をしていた時は…確か……。


そうか、これは…あの時の……

ピピピピピッ!!ピピピピピッ!!ピピピピピッ!!...

『心拍数、急上昇!
異常値を示しています!!』
『脳波確認します…
の、脳の動きが活発になっています!』
『薬を持ってこい!
投与するぞ!!』
『血圧110!
体が完全に起きています、間に合いません!!』

『なんて事なの…
”人格削除”は完璧だと思ったのに…復活するなんて……』

『大神様を呼んでこい!
早く!!』


そんな在りし日の記憶を遮ったのはサイレンにも似たけたたましい電子音と慌てたような人々の声。
そしてバタバタと慌ただしく動く複数の気配。


…。

……。

………ハッ!!


少年は目を見開いた。
慌てて上体を起こそうとしたが、既に両膝立ちをしていたので徒労に終わる。
少年の目に目の前の光景が広がる。


そこは明るい、清潔感のある部屋だった。
壁も天井も床も、棚やテーブル、椅子まで真っ白。白くないものと言えば、自動扉と薬や手術道具、薬等の小物類だけだ。
そんな潔癖な部屋にいる老若男女…沢山の白衣を着た人々、つまり、研究者達の事だが…が凍りついたようにこちらを見つめていた。

俺から平穏な人生を奪った忌々しいヤツらの仲間か…
そう思うと、腹の底から、怒濤のような勢いで怒りが込み上げる。

その怒りは、まるでどす黒いインクがこぼれたかのように俺の心を、思考を、精神を瞬く間に覆っていく。
感情の制御が出来ない。

…いや、制御しようなんて思わない。


コイツらが人間の形をしている事自体が忌々しい。
殺してやる。
全員、殺してやる。


ブチブチブチッ!!


自らを繋いでいたケーブル類を全て引き千切ってサッと立ち上がる少年。
般若の如き表情をした少年の、その深紅の目は暗く淀んでいた。

…目に光がない。


「……。」


少年は目の前にある如何にも清潔そうな真っ白いテーブルの上にある物体に目を留めた。

そして、素早い動作でその物体を掴む。


「…あっ、よせ!
それを放すんだ!!」


それを見た男性研究者が慌てて少年に駆け寄る。
少年が物体を掲げ…


「…っ!!」

ぐしゃあ!!


思いっきり腕を振り降ろした。
鈍く光り輝く一条の光が男性研究員を切り裂く。

断末魔を上げる事も叶わずにばっくりと胴体が割れて崩れ落ちる男性研究員。
大量の血飛沫が、辺りを赤く染め上げる。


しかし、少年はただの物体になった人間になど、目もくれていなかった。
少年は、鋭い眼光で室内の人間達を睨め付けていた。


少年は手にした物体…この少年用に研究開発されていたナイフを構えた。
それと同時に、背中から複数の茨の蔦を出現させる。


「主任!
ここは危険です!
退避してください!」

「わ、わかったわ。
私は大神様に謁見して、対策を あっ…」


男性研究者の声に少年は反応し、声の方角を見る。
次の瞬間、「主任」と呼ばれた女性研究者の体は複数の蔦に突き刺され、蜂の巣にされていた。


そして、少年は行動を開始する。


その光景は、まるで地獄絵図のようだった。
ある者はナイフで切り裂かれ、またある者はナイフで顔面やら胸やら串刺し。
蔦で絞め殺される者もいれば、蔦で叩きつけられて四散する者もいたし、蔦に串刺しにされて動かなくなる者もいた。
頭だけが綺麗に吹き飛ばされた者もいれば、頭をかち割られて脳髄等が飛び散った者もいる。
原形を留めていない肉塊もあれば、ミンチになるまで攻撃され続けた者もいる。

男も、女も見境なく、一方的過ぎる虐殺。
その場にいた全員を殺すのに、おそらく1分も経っていないだろう。


ダッ…!!


忌々しい研究者達を掃討した少年は今や清潔感の欠片も失せた手術室を飛び出した。

何も考えてはいない。
何故か飛び出したのだ。

ちょっと薄暗い廊下らしき通路に出ると、ひたすら走り始める。
困惑したような表情で通路脇に突っ立っている男性研究者の首を、すれ違い様に切り落として行く。
首から吹き上がる血飛沫はまるで赤い噴水。
ゴンッ!と何か固いものが床に落ちた音も鳴り響いた。

しかし、そんなものは少年の知る所ではない。
興味もない。


ドンッ!


…どうやら、曲がり角でキョロキョロと余所見をして歩いていた女性研究者とぶつかったようだ。

尻餅を付いてこちらを見上げている女性研究者。
とても驚いた表情をしている。


ブォン!!
グシャア!!


硬質化させた蔦を思いっきり叩き付けた。

肉片、骨の欠片、脳髄、臓物、真っ赤な血液…様々な物が盛大に飛び散った。
後に残ったものは、肉片と血溜まり。


良い気味だ。お前にはその姿が一番お似合いだな。

少年はフンッ、と鼻で笑い、今し方殺した新米の女性研究者が歩いてきた通路へと視線を映した。


少年は走り続けた。
まるで、ダンジョンのような研究施設を当てもなく。

途中で出会った人間は全て殺した。
白衣を着た研究者達、スーツを着たビジネスマン風の人物達、帰宅する所だろうか?私服を着た人々。


そして、少年は今までに見た事がない奇妙な扉を見つけた。
実験室にあった自動扉とも違う形状のそれは鉄で出来ているようだ。


"エレベーター"


知らない単語だ。
それが、何故か頭を過る。

この扉の向こうがどうなってるのかなんて分からない。
だが、少年は夢中で扉の脇にあるボタンの「△」ボタンを押していた。

此処が何処だか分からない。
現在地が地下なのか地上何階なのかも分かっていない。
それ所か、少年は奇妙な扉のサイドにある「△」ボタンの意味も「▽」ボタンの意味も知らない。
そもそも、このボタンと扉が関連している事も…もっと言うと、ボタンである事も知らない。
なのに、何故か「△」ボタンを押した。

だが、上に行けばここから抜けられる。
だから、押した。
何故かそう思った。


心は忌々しいヤツらを全員殺してやりたいと思っている。
しかし、本能と体は警鐘を鳴らし、命の安全を取るべきだと訴えているようだ。
ここは、心を押し殺して…。
きっと、いつか復讐をする機会があるだろう。
今はその時ではないのかもしれない。

そう言い聞かせた。

間も無く、扉は開き、少年はその中に飛び込む。
そして、扉が閉まり、エレベーター…昇降機は上の階へと上昇し始めた。


その鉄の箱は、綺麗な鏡面反射の壁を持っていた。
壁に映る自分。

記憶の中の自分より大人びているように感じた。
成長したのだろうか。


(しかし、何だ?
この禍々しい姿は。)


少年は2門もキャノン砲が装備されたバックパックを背負っていて、背中からは茨の蔦が10本程伸びていた。
そして、何よりも。
白いTシャツも、紺色のハーフパンツも、腕も足も顔もナイフも蔦も返り血や脳髄、臓物の一部等が大量に付着して大変汚れてしまっている。
汚らわしいヤツらを粛正していたら、自分が汚らわしくなってしまったようだ。

生き延びれたら、洗濯しないといけないな…。


足の付け根辺りに何だか違和感を感じる。
その違和感の原因は何か、とシャツを捲ると、骨盤辺りに埋め込まれたソケットのようなものが見えた。
そのソケットにはチューブが繋がっていて、背負っているバックパックまで続いているようだ。

どうやら、このソケットが違和感の原因であろう。
これが何を意味するのかは分からない。
が、とても大事なものなのだろう。
この、禍々しいメカを動かすにあたって。


「ふぅ…。。」


改造された自身の体から目を離しつつ、溜め息を一つ。

密閉された空間で自分自身を見つめていたからか、少し落ち着いてきたようだ。
先程までは何が何だか分からなかった訳だが、少なくとも、今後どうするべきなのか冷静に考えようとしている自分に気付いた。

少年の目には光が戻ってきていた。
深紅の目は、もう暗く淀んではいない。


と、その時…


ガックン!!

「…?!」


衝撃と共に、昇降機が突然止まった。
表示は「B1F」という文字を指している。


「取り敢えず、ここから出た方が良いかな…。」


今まで動いていたものが突然止まる等、何か良くない事が起きる前兆に違いない。
ここから出た方が良いだろう、と扉の脇にあるボタンを一つ一つ押して扉を開けようとする。
しかし、鉄の扉は開かない。

そこで、ボタンを長押ししてみたり、2つ同時に押ししてみたり…と思いつく限りの行動を取ってみる。


…冷たい鏡面反射の扉は依然として、頑なに開く事を拒んでいる。


少年は2つのボタン同時押しの全ての組み合わせを試す事に飽きてしまったし、うだうだしている時間もないだろうから、実力行使をする事にした。

硬質化させた蔦でぶん殴るのだ。
何とも禍々しい物を持ってしまったものだが、ここは使わない手はないだろう。


「ハッ…!!」

ズガンッ!


鉄の扉は、ちょっと凹んだ。


「…行けるかな?」


何度も何度も蔦を叩きつける。


ズガンッ!
ズガンッ!
ズガンッ!
ズガンッ!

バギィン!!


それまで、何をしても仏頂面をしていた鉄の扉は打撃の応酬に屈して遂に大きく拉げた。
少年は更に沢山の蔦を用意して、硬質化させて一気に突く…


ズガァン!!
ドンガラガッシャン!!


鉄の扉は破れ、千切れた扉の破片がフロアの向こうの方まで吹っ飛んで行った。

少年は素早く昇降機から降りる。


「なっ…!!」


ホールに降り立った少年は焦った。
周囲を多数の人物に包囲されていたのだ。
その全員が翼の生えた女性…。
その身なりから推測すると、少年と戦う為に…もしかしたら、少年を抹殺する為にここに集まったのかもしれない。


この少年は知らない。
この戦闘集団は「ヴァルキュリア部隊」。
ヨルムンガンドの街を支配したススケルパラ公の秘書、イリスお抱えの部下達である。
女性だからと侮ってはいけない。
彼女達はとても厳しい英才教育を受けた戦闘のプロなのだから…。


(くっ…、待ち構えていたって訳か…。)


少年は苦々しげな顔をしつつ、戦闘態勢に入る。
周囲を素早く見回し、呼吸を調えた。


ジリッ...


互いに出方を伺う、一瞬の間。
息苦しい程の緊張感に包まれたホールの空気を振動させたのは、少年の方だった。


「ハッ!!」

ブォン!!


多数の蔦を一度に動かし、女性戦闘員達を攻撃する。


ドゴォ!!
ズガァン!!
バシィ!!


しかし、多数の蔦は1本たりとも女性戦闘員を捉える事は出来なかった。
彼女達は手慣れた様子で蔦をかわし、受け流し、サッと移動する。
蔦は天井や床、壁に凹みを作るだけとなった。


相手は集団で、しかも相当の手慣れのようだ…。
ナイフを使える距離まで接近するのはこちらが不利になるだけ…。


そう考え、少年は全方位に注意を向けつつ蔦で攻撃をする。
しかし、やはり1撃もヒットさせる事ができない。

それ所か、数の多さと素早さで段々ターゲットが絞り難くなり、攻撃出来ずに守りに入りがちになってきた。
おまけに、さっきよりも相手が増えたような気さえする。
…いや、明らかに増えている。


「…っ?!」


ちょっと注意が逸れた隙に、蔦に奇妙な感覚が走った。
切断されたのである。

しかし、少年にその事実を知る時間はなかった。
何故なら、1人の女性戦闘員が一気に間合いを詰めてきていたからである。


「しまっ…!」


女性戦闘員の右手に装備された鉤爪が閃く。
しかし、少年も人造人間である。
非常に鈍足である反面、反応速度は彼女達にも負けない…。


ガギィン!!


ナイフと鉤爪が交わる音。
そのまま鍔迫り合いになる。


ぐぐぐっ…


女性とは思えない程、力が強くて少し押される。
女性のパワーは少年を少し上回っているようだ。
それと、少年が戦っている相手は1人ではないという事も少年が押される原因の1つかもしれない。
常に蔦で牽制しておく必要がある為、全てを目の前に集中させる事が出来ないのだ。


…このままではマズい。
少年はそう思い、蔦で目の前を薙ぎ払う!


タンッ!
ブォン!!


狙い通り、女性戦闘員は蔦を避けて間合いを取った。
…今だ!!


ズドドドドドドドドドド!!


この隙に、少年は沢山の蔦を自身の周囲の床に突き刺し、隙間が出来ないように床から垂直に蔦を出現させる。
その光景は、まるで蔦の壁。

相手の装備品は鉤爪、剣、ハルバード、バトルアックス、ランスにスピア…
しかし、何重にも折り重なったこの壁なら、きっと大丈夫。
硬質化させてあるから、槍による攻撃で貫通される事はないだろう。


この場から抜け出す一番楽な方法。
それは…


道は自分で切り開くもの。


バクパックが忙しく働き始める。
キィィィィィィィィンという独特の金属音を奏で、パワーが溜まって行く。


2門も砲塔をほぼ真上に向けて…


「っ…!!」

ズギュアゥゥゥゥゥン!!!!


低い天井に向けられて2つの砲口から放たれた眩い光の本流は、そのまま天井を破壊。
少年のほぼ真上に少年が1人通れる程度の穴を開ける事ができた。


「よっと!」


少年は素早く蔦の壁を解除すると共に、蔦で上の階へと登って脱出した。


少年を出迎えたのは、とても明るい廊下だった。
しかし、これで安心できる訳ではない。
彼女達には羽が生えている。
きっと、この穴を通るのは苦労するだろうが、うかうかしていたら捕まってしまうだろう。
少年は最初に目に飛び込んできたドアに向かって突進した。


ガチャ!


そしてドアを開け、中に入る。


バタン!


ドアをしっかりと閉める。
…中には頭のハゲあがった中年男性がいたが、少年はそんなの無視して(実際、ハゲあがったおっさんも驚く素振りすら見せなかった)部屋を横切り、窓を開けて外へと飛び出した。


少年は遂に建物を脱出する事ができた。
建物の外、そこは広大な庭園となっている。

これだけの騒ぎだ。
おそらく、警備員がとても多くなっている事だろう。
しかし、生け垣や木等があるので身を隠しながら移動する事ができそうだ。
少年は建物沿いに左へと進む事にした。

キャノンの砲身の場所に気を使いつつ出来るだけ素早く移動して行く。


そして、見上げる程の高さのあるフェンスまで辿り着いた。
フェンスのデザインはとても豪勢で、この建物がどれだけ威厳のあるものかが分かる。

そのフェンスの向こうは…道路だ。
しかし、人通りも馬車通りも記憶の頃より格段に少ないように思える。


…って、そんな事より、今は脱出が優先だ。
取り敢えず、少年は蔦を使ってフェンスを飛び越え、街へと繰り出した。


-----------------------------


宮殿から遠く離れた薄暗い路地裏。
少年は休憩する為の潜伏先を探そうと曲がりくねったこの狭い道に来ていた。


ゴソゴソッ!!
Σビクゥ!!

ドサッ!

(な、なんだなんだ…?!)


すぐ近くで物音がした為、少年は驚いて腰を抜かしてしまった。


「…にゃ?」


すると、物音の主が物陰から姿を現す。
ヘたれ込んだ少年を見下ろす、猫耳を付けた少女…

何処かで見たような…?


「にゃあ…?
…。
……。
………。」

「………。」


暫く見つめ合う2人。


「…あっ!!
もしかして、タレですか!?」

「えっ…?
…あっ!!」


そうだ、思い出した。
この子は、俺と良く遊んでいた5歳年下の女の子。
何処に家があるのか全く分からなかった、不思議な女の子だ。

名前は…

まみ!
そう、まみだ!!

そして、俺はネギタレと呼ばれていた…。
彼女はそんな俺を「タレ」と呼んでいたんだった。


「まみ…
久し振りだな、元気してたか?」

「勿論、元気だったですよ!
…最近は色々あって大変ですけどね。」


言いながらちょっと肩を竦めるまみ。
しかし、少年…ネギタレと同じように久々の再開を喜んでいるようだ。

…そういや、結構大人っぽくなってきたみたいだな。
俺の記憶の中のまみは5歳の、小さい女の子だった…。


「まみ、随分と立派になったね!」

「そりゃあ、5年も経てば立派になるですよ。」

「え…5年?
5年…俺の知らないうちにそんな月日が流れていたのか…。
知らなかった。」


ネギタレの心中にちょっとモヤモヤしたものが生まれた。
大事なものを無くしたような…あんな感覚。


「そう、もう…5年になるですよ。
…取り敢えず、ここに座って、ゆっくりするです。」


まみの指の先は壁際に向けられていた。
そこには、木箱。
取り敢えず、ネギタレはここで一休みする事にした。


それから、2人は持っているだけの情報を交換した。
5年もの間、ネギタレが「行方不明」であった事。
5年のうちに街の様子がどんどん変わって行っている事(特に、治安が極端に悪化してきている)
ネギタレがさっき目覚めてからここに来るまでの出来事。(ある箇所ではまみがネギタレを見ながらプルプル震えていた)
ネギタレの話に関連して、最近…といっても5年程前から街人、特に若者が行方不明になる事件が頻繁に起こっている事。
まみは今まさに追われている身である事。


「そんな訳で、今は街中にはスーツを着たススケルパラの手下達がわんさかいるですよ…。。」

「う〜ん、そうなのか…。
家に帰って母さんに会いたいけど、もし見つかったら…最悪、まみだけじゃなくて母さんも巻き込まれかねないか…。」


まみの話を聞いて、顔を顰めるネギタレ。
残念そうで…寂しそうでもある。


「ですね。
今は家に帰らない方が良いと思うです。。
後で…少なくとも、今の騒動が収まってからお忍びで会いに行った方が得策だと思うですね。」


言葉を付け加えたのは…ネギタレがあまりにも悲しいそうな顔をしていたから。
彼を見ていると、自分も家族の事を思い出してしまう。
心にぽっかり穴が開いたような感覚がまた戻ってきてしまう。


「そうだよな…。。
でも、それまでどうするんだ?
ここだって、いつ見つかるか分からないよ?」


だから、ネギタレが話題を変えてくれた事にまみは心底感謝した。
投げ掛けられた質問に対しての答えは、既に出ている。


「それなんですが…ここから東に行った場所に森の墓地があるの、覚えてるですよね?」

「…あぁ、あるね。
もうあんなとこに行く人はいないだろうね…あぁ、成程。」


まみの問い掛けに答えたネギタレはちょっと怪訝な顔をしていたが、自分の言った言葉によって納得したようだ。


「そう、あそこに潜伏してたら、ここにいるより安全だと思うです。
近付いたら引き寄せられて帰ってこれないって噂があるんですけどね。
他にも、幽霊とか人魂とかゾンビとか食人植物とか色々なのが徘徊してるとかって噂も聞いてるですよ…。」

「まぁ、俺も似たようなものだし、そこら辺は大丈夫だろ。」


今のネギタレは確かにちょっと異形な姿であるが…それでも「大丈夫」という言葉に説得力が感じられない。
ホントに、墓場をうろついてるようなやつらと仲良くなれるのかな…?
まぁ、会ってもないのにそんな不安を抱えてたら上手くいくものも上手くいかなくなるもんだが。


「まぁ、何とかなるですかね…。
じゃあ、そろそろ向かうです。」


まみはそう言うと、座っていた木箱から立ち上がった。
ネギタレも釣られて立ち上がりながら、ポッと出てきた疑問を口に出す。


「…見つかっちゃいけないのに、どうしようって言うんだい?」

「ふふふ…。
とっておきの抜け道があるですよ♪」


怪訝な顔をするネギタレにまみは振り返って指を一本立てつつ得意げにウインクを一つ。


-----------------------------


「…で、地下水路か。」

「この地下水路、めっちゃ臭いし、水もめっちゃ汚いけど…あの森まで繋がってるらしいです。」

「…らしい?
大丈夫?」


移動中に見つかるかも、そんな不安を感じていた。
でも、「別の不安」が的中したようだ。
まみは自信満々に答えているけど、正直…余計に心配になってくる。
大丈夫か…??


「心配しなくても着くから、大丈夫ですよ♪」

「はぁ…。。」


そんなネギタレの心配なんて何処吹く風。
まみは先程と同じようにこちらを振り向いて、指を一本立てつつ得意げにウインクをしてみせた。


そんなこんなで、ネギタレとまみは地下水路を通って機械産業都市”ヨルムンガンド”を脱出し、死の森”トートヴァルト”へと逃げ延びる事となるのである。


しかし、これは彼らが遭遇する事となる大冒険物語のほんの序章にしか過ぎない…。


-----------------------------キリトリ線-----------------------------


実験室の表現、某さんと被ってたwww
人殺ししちゃうとことかまで被るとか…www
けど、場所は明らかに違います、よ。
ついでに、パクった訳でもないですよ!

ごめんなさい、某さん!!


因みに、ネギが殺したのは戦闘能力なんてない人達ばかりです。
女性戦闘集団「ヴァルキュリア部隊」は誰一人として擦り傷すら負ってないとか何とか。


パラケルスス公。
王族を掃討したけど、本来は公爵の位なのです。
爵位は下から男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵、大公、親王、王、皇帝・天皇となっている訳なので、結構高い方ですよね。
皇帝を超えた存在、「大神(おおがみ)」と自称しております。
神の更に上位であるぞ、と言ってるんですね。つまり、神をも超越した存在である、と自分で言いふらしている訳です。厨二病乙www

まぁ、パラケルススが公爵なのは非常に優秀な天才科学者であるので、その面を称えての事です。
ぶっちゃけ、大公クラスの功績を持っているんだけど、大公にするには…野心家過ぎだと判断されたのです。
だから、当初は高くても伯爵くらいまでしか爵位あげないつもりだったのだが、本人からの圧力が厳しくて、公爵で折れちゃったんだって。

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